和牛のブランドとしては古くからある近江牛には、歴史的な偉人達が愛した味があります。

時代からしてみれば隠れて食べられている状況で、当時としては牛を食べるということは、罰があたえられるほどでした。

そうまでして「食べたい!」と思わせる近江牛にはどのような魅力があるのでしょうか?

今回は、歴史的観点から魅了される由縁と品質について探っていきます。

薬用として売られていた近江牛は、えさと環境がミソ!?

うまいステーキ-73

秀吉・徳川将軍家に愛されていた近江牛

日本の三大和牛の一つ、近江牛は秀吉の時代から愛されてきた史実は、最も歴史があるといっても過言ではありません。

1590年(天正18年)豊臣秀吉の小田原攻略の折,高山右近が牛肉を蒲生氏郷と細川忠興に振る舞ったことから近江牛の歴史がはじまります。

「反本丸」と称された牛肉の味噌漬けは、 1687年彦根藩において花木伝右衛門が、明の李時珍の著書「本草綱目」を参考に牛肉の味噌漬けを考案し、「反本丸(へんぽんがん)」と名付けたと伝えられています。

「本草綱目」は慶長年間に明より伝えられた書物で、その中に「黄牛の肉は佳良にして甘味無毒、中を安んじ気を益し,脾胃を養い腰脚を補益す」との記述があることから、反本丸は補養薬として製したものと考えられます。当時、公然と食べることができなかったので薬という名目を使ったのかもしれません。

また、「養生薬」として干した肉に加工されたものを徳川将軍家に献上されています。

明治2年頃から滋賀県内から陸路で17~18日間を要し横浜まで牛を追い、外国人との直接取引が始まり明治12年には竹中久次が東京に進出し、牛肉卸売小売業「米久」を開業。後に神戸港から東京へ海運にて東京に進出します。その後、四日市港からの海運もはじまります。

このような発展を遂げた近江牛ですが、かの有名な神戸ビーフは神戸産の牛ではなく、輸送のために神戸港に運ばれてきた近江牛(または但馬牛)を在留外国人が名付けたともいわれます。

明治23年には、東海道本線開通により八幡駅より牛の輸送が始まります。明治40年に近江牛育ての親の西居庄蔵翁が蒲生郡牛馬商組合を設立。大正3年には、東京上野公園で全国家畜博覧会開催、蒲生郡の牛が優等1位となり知名度が大きく広がります。

昭和29年頃に日本橋・白木屋で近江牛の大宣伝会が開催され、近江牛が大きな発展を遂げます。

しかしながら、定義の一つであった「滋賀県産」を満たすのに必要な期間の基準が無かったため、県外産の牛を一晩県内に置いて翌日に市場に出しても「近江牛」と呼称できたが、2005年(平成17年)に牛の肥育履歴偽装事件で近江肉牛協会の幹部が逮捕されたのを機に、同年12月に「滋賀県産」とみなす基準を含めた近江牛の定義が決められました。

これらのことから平成19年から平成20年には、認証制度が開始しされ安心が担保されるようになりました。

この古い歴史の中近江牛として全国では、有名にはなりましたが生産されている地域の滋賀県(滋賀県東部)の蒲生・神崎・愛知の各郡(現在の近江八幡市、東近江市、竜王町など)において生産されてきました。

これらの一帯は米の生産やその他の農業も盛んな地域で、牛を肥育するための飼料と気候に恵まれたためともいわれています。

また、松阪牛の歴史においても但馬の牛の品質や味に関して非常にすぐれているものと思います。




近江牛の規格基準

 

近江牛認証要件

認定証明書

  • 「近江牛」の中でも、枝肉格付がA4、B4等級以上のもの
  • 協議会の構成団体の会員が生産したもの
  • 滋賀食肉センターまたは東京都立芝浦と畜場でと畜・枝肉格付されたもの

出典「近江牛」生産・流通推進協議会

定義

(品種)黒毛和種

  • 現在は但馬牛を素牛としなくともよい。
  • (地理的表示)JAS法に定める原産地表示が「滋賀県産」と表示できるもの
  • 滋賀県内で最も長く飼育されたもの。

日本食肉格付協会の格付けに基いた定義がないため、上記の2つを満たせばどの肉質等級および歩留等級であっても近江牛と呼称できる。

なお、A-4、B-4以上の格付けの枝肉には認定書や認証シールが発行される。




まとめ

近江城

日本三大和牛の一つ近江牛は、豊かな自然と飼料にかかせない米の生産のおかげで育んだ土壌と但馬牛の素質と相重なり、又、歴史的観点から歴代の将軍達に愛され続けてきた味に今でも全国で魅了されています。

近江牛を扱う駅弁には、「食べ物の恨みは恐ろしい」とのキャッチコピーが書かれていますが、近江牛を楽しみにしていた水戸藩士が、江戸幕府への近江牛の献上を断った近江彦根藩藩主・井伊直弼を恨んで桜田門外の変で討ったとする俗説に基いています。

現在においても品質は規格基準が設けられ認証があり、その品質には安心という担保が加わっています。
世界でも注目を浴び続けている近江牛の品格さえうかがえます。

これらによって、近江牛の新しい楽しみ方が一つ増えたのではないでしょうか。