松阪牛などの高級な牛肉でも味をなるべくおとさずに保管する方法

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冷蔵・冷凍とは

食肉を冷却すると、ある温度までは単に食肉の品温が低下するだけですが、それ以下に品温が低下すると、食肉中の自由水が氷結し氷結晶が生成されます。
この氷結晶の量が一定以上になると食肉全体は固体化し、凍結状態になります。

したがって食肉の冷凍は、単に食肉の温度が低下しただけで、食肉のやわらかさを軟かさを保っている状態の冷却(冷蔵肉)と食肉中の水がほとんど氷結晶となり食肉全体が硬く固化した凍結肉(冷凍肉)及び両者の中間である半凍結肉にわけることができます。

また近年では凍結肉の凍結温度をより低く保つ傾向が高まり、-18℃以下の凍結肉を深温凍結肉(deep frozen meat)といい、一般の凍結肉と区別して扱うこともあります。

  • 冷却肉(冷蔵肉)・・・-1℃~10℃
  • 半凍結肉・・・-3℃前後
  • 凍結肉・・・-15℃以下(食品衛生法で決まっています)
  • 深温凍結肉・・・-18℃以下(品質を保つ効果があるとされています)

また、食肉の冷蔵・冷凍の目的には、①保存性を高めること、②食肉の品質特性を変化させて、加工特性を高めることにあります。

食肉の凍結・解凍

食肉の保存方法として、凍結保管はもっとも食肉の品質を損なうことなく長期間保存することができる方法です。

食肉の凍結は、枝肉で凍結されることはあまりありませんが、部分肉あるいは正肉として凍結される場合が多いです。部分肉の凍結は、金属製の凍結容器に詰めて凍結する方法が行われていましたが、凍結肉ブロックの角部分が乾燥したり、酸化したりするので現在ではほとんど行われていませんが、プラスチックフィルムで密着包装したうえでダンボールに詰め、シールを貼って凍結する方法が一般的です。

冷凍曲線

食肉の冷凍において、食肉の温度を低下させたとき、食肉中の温度低下を時間の経過とともに示した曲線が冷凍曲線といいますが、-5℃~-1℃の温度域において最大氷結晶生成帯といわれます。

食肉の凍結とは、食肉中の水の大部分が氷結晶となり食肉全体を固化することは前述したとおりですが、凍結状態にある食肉は、食肉中に生じた氷結晶の状態に左右されます。つまり、食肉中に生じた氷の結晶は小さく、形がそろっているほど食肉の筋肉の筋肉細胞の細胞の損傷が小さく、良好な凍結といえます。

氷結晶の大きさをなるべく小さくするために最大氷結晶帯生成帯の通過時間をなるべく小さくしたほうが良いです。要は、緩慢凍結より二次冷媒液による急速凍結の方が、冷凍食肉の品質保持のために良い方法だということです。

空気凍結法

以下の4つがあります。

  1. 空気凍結法
  2. 接触凍結法(コンタクト法)
  3. 二次冷媒液凍結法
  4. 液体窒素による凍結法(トンネルフリーザー)
空気凍結法

空気凍結法の中には、自然対流下での普通の方法と凍結室の空気を送風により強制的に流動させる方式です。

接触凍結法(コンタクト法)

冷却した金属板を食肉に接触させて凍結する方法ですが、厚さが6~7cmまでの比較的小型の食肉の凍結に用いられます。6~7cmの食肉では2時間~2時間半
で凍結されます。

二次冷媒液凍結法

氷結点の低い二次冷媒液に直接食肉を浸漬する凍結法であり、空気凍結に比べて二次冷媒液凍結の方が熱伝導率が高いので食肉の凍結時間が短縮できます。
二次冷媒液には、食塩、塩化カルシウムなどの塩溶液、グリセリン、プロピレングリコールなどの糖アルコール、エタノールなどのアルコールが用いられます。

これらの二次冷媒液をブラインといい、このブラインを-20℃~-10℃に冷却して食肉の凍結に用いられます。魚の場合は魚体とブラインが直接接触する浸漬が用いられ、食肉、食鳥の場合はクライオ・バックのような気密性を有するフィルムで密封されたのちブラインに浸漬されるので、ブラインが食肉に触れることはありません。

液体窒素による凍結法(トンネルフリーザー)

液体窒素を噴霧させたトンネル内を連続的に材料を通過させて、瞬間的に凍結させる超急速凍結法です。
この凍結法は他の凍結法に比べて運用経費が高いため、ハンバーグ、チキンナゲットなど食肉を原料とする製品の凍結に用いられることが多く、食肉そのものを凍結する方法としては、まだ多くは用いられていませんが、この凍結法による食肉の品質に及ぼす悪影響はほとんどなく、食肉の凍結法としては将来期待できる方法の一つです。

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牛肉の解凍方法

解凍は熱の出入からみると凍結の場合とまったく逆で、凍結食肉の解凍は、筋肉中の氷結晶に熱を加えて水に戻し、その水を再び筋肉タンパク質に吸収、結合させることです。

凍結食肉に熱を加えて解凍が進むにつれ、品温の上昇とともに次のような変化が伴ってきます。

解凍による食肉の変化

品温上昇に伴う微生物の増殖、酸素活性の復活により筋肉を変質させるドリップの流出。食肉中の水分及び可溶性の有用物質がドリップとともに流れ出る。
空気中で解凍する場合、酸素や乾燥がおきやすい(無包装の場合)水中解凍の場合、水によって微生物の汚染や拡散がおきます。

緩慢解凍

熱伝達率の小さい空気中または冷却した液体中にて、時間をかけて徐々に解凍する方法。

凍結肉を緩慢解凍するときは、次のことが要点になります。

  • 解凍媒体の温度は、なるべく低いほうがいい。水や空気の場合では10℃が上限解凍中、食肉の中心部と表層部の温度差をなるべく小さくするように解凍する。解凍媒体と食肉がよく接触するようにする。
  • 解凍媒体が空気の場合は、密着包装のまま(交差汚染を防ぐ)解凍を行う。未包装の食肉は、凍結のまま真空包装を行ったのち、水中にいれる(ドリップの流出または吸水を防ぐため)
  • 解凍終了の終温は、食肉中心温度-5℃~-3℃の半解凍か、高くても0℃~1℃に留める。
急速解凍

凍結肉の解凍に時間をかけることは、作業上支障が大きい。したがって、最近では解凍に時間をかけない急速解凍法が多く用いられるようになってきています。

急速解凍法は、基本的には解凍媒体を加熱し熱伝達率を高めることにより、比較的短時間で解凍を行う方法であり、攪拌(かくはん)した加温中または加温空気のブロアー(吹きつけ)中にて解凍する方法が一般的ですが、高周波を用いた装置(大型の電子レンジ)により解凍する方法も最近実用化されています。

急速解凍は、解凍時間が短く、解凍肉の品質にあたえる影響は次のような点で緩慢解凍より優れています。

  • 解凍に要する時間が短縮されるので、微生物の増殖、酸化や乾燥などによる食肉の品質に対する影響は、緩慢より少ない。
  • 凍結食肉フライ生地(とんかつ、チキンナゲット、ハンバーグ等)など凍結のままフライにする場合は、解凍と同時に肉タンパク質の熱凝固がおこり、内部からのドリップの流出を防ぐので、解凍による肉質の変化はおこりにくい。
  • 筋肉タンパク質の変性が著しい(-2℃~-3℃)を極めて短時間で通過するので、解凍による肉質の変化が少ない。
  • 高周波による急速解凍では、食肉の内部より加温されるので解凍中の食肉の表層部と内部との温度差は少なく、平均的に温度が上昇し、ドリップが少ない。また、解凍肉の品質の低下も少なくなります。

解凍が食肉の品質に及ぼす影響とは

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解凍硬直

屠畜直後、死後硬直が始まる前に食肉が凍結し、その凍結肉を解凍した場合には、解凍後に激しい硬直が起こります。これは屠畜後死後硬直に至っていないので、筋肉中にはATP、グリコーゲンが残存したまま凍結されることになります。凍結保管中はATPもグリコーゲンも消費されないので、解凍されたときにATPの分解がおこり死後硬直が急速に始まり通常の
肉より非常に硬くなります。したがって凍結食肉を解凍後直ちに消費する場合、凍結する前に死後硬直を完了させておくことが必要となります。(鷄の場合よくあります。)

解凍によるドリップ発生

凍結食肉を解凍する際には、多かれ少なかれドリップは発生しますが、その量は凍結方法、凍結時のタイミング(死後硬直前後)、解凍方法によって異なります。ドリップ量は少ない方がもちろん良いです。

なるべく低い温度で緩慢に解凍するほうが、高い温度で急速する方法よりドリップ量は少ない。これは急速な解凍により氷結晶が溶けた水が筋肉に吸収される余裕がなく、食肉組織より流れ落ちてしまうためです。(死後硬直の筋肉は保水性が悪い)
解凍硬直が起こるような条件下での解凍においてもドリップ量は多くなり、と畜直後の凍結牛肉の解凍において、40%ものドリップを生じた例もあります。

再凍結

再凍結による解凍、凍結を繰り返すことにより、ますますドリップが増加し、品質が低下するので、解凍再凍結は繰り返さないほうがよいです。(筋肉細胞を破壊してしまうため)

解凍中の細菌の増殖

凍結中の食肉には通常細菌の数は少ないが、解凍中には、温度を上昇させるため細菌の増殖がおこりやすい。
管理する温度が大切です。

まとめ

凍結方法には、様々な方法がとられていますが前述から瞬間冷凍がもっともよい方法とされており、解凍にも最適だとされています。
ただ、気をつけなければならないのが、両者とも細菌の増殖がある傾向なので温度管理を徹底しながら行った方がよいです。

食肉の扱いは、近年の食中毒から非常に事故がみられますが近年では、改めてその取り扱い方法が見直され加工業者には、徹底した衛生管理が実施されています。また、家庭での事故が増えつつありますので食品の管理方法は、抑えておきたいものです。

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