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今回は、部位別による料理用途について紹介していきます。

何故、部位によって料理が異なるかといいますと、部位にはそれぞれ肉の味、硬さ、柔らかさの違いがあり、それぞれ特徴ごとに分けられるため部位という形で分ける必要があります。

例えば、硬い部位ですとうすくスライスして硬くないようにカットしたり、やわらかいものだと厚みによるステーキにしていきます。

ですから調理する料理によって部位が別れます。

牛肉には、様々な部位が販売されていますが、購入前に知っておく部位別料理用途があります。

昭和52年、農林水産省畜産局は、合理的な食肉小売り販売を通して消費者への利益を目的に「食肉の小売り品質基準」を制定しています。この趣旨と目的は、増え続ける食肉の知識を持ち、合理的で経済的な食肉消費を普及させることにあります。

食肉の小売り販売での表示は、部位別を原則としています。従って、その部位に向く料理、また、料理に向く料理部位が必ずあるわけで、この面から部位が必ずあるわけで、この面から部位の持つ特質をよく理解する必要性がでてきます。

牛肉については、部位別の特性がそれぞれはっきりしていますので、調理の目的によって正しい使い分けをすることが重要です。

公益社団法人日本格付け協会が定めています。「牛部分肉取引規格」は、13部位に分類されていますので、これに従って解説していきます。




ネック

くびの部分で、かたロースに続いています。運動をよくする部分ですから、肉色は濃いめできめは粗く、肉質は硬い部位です。しかし、ほとんどが赤身ですから、ひき肉にするのに最適な部位と言えます。

豊富なエキス分、ゼラチン質を持っていますので、煮込みにしますと「すね」と並んで良いスープストックの素材になります。

かた

うでの部分を総称して牛かたとよんでいますが、みすじ、さんかく、とうがらしなどの数多くの筋肉の集合体です。総じてよく運動する部位ですから、筋膜や腱などが多く、肉色はやや濃いめです。きめが粗く肉質も硬い部類に属します。

エキス分やゼラチン質は豊富ですから、煮込み料理やスープの材料として最適です(この部分の牛骨は特に)。また、筋膜や腱を取り除いて薄切りにしますと、硬さに難はなく、相当広い範囲の牛肉料理に利用できます。

かたロース

この筋肉は、最もきめの細かく柔らかなところです。その周辺の筋肉も、胸最長筋と同様の特性を持ち、肉質の優れた最高の部位に属します。

和牛の理想肥育したものは、鮮やかな霜降り状態の脂肪交雑となります。薄切りにしたものは、もちろん問題なく広い範囲の牛肉料理に向きますが、やや厚切りで焼肉用にすればコクのある風味が楽しめます。

リブロース

胸最長筋の最も肉厚の部分です。肥育した牛のロースの断面は、見事な霜降り状態の脂肪交雑となります。

若年齢のものでも、きめの細かい優れた肉質を持っています。「すきやき」、「しゃぶしゃぶ」、「ローストビーフ」、「ステーキ」などの代表的な牛肉料理に最適な部位です。

オーストラリア産のリブロースは、外側の「かぶり」と呼ばれる部分を除去し、ほとんどのロース芯の部分にしたものを「キューブアイロール」と呼んでいて、米国ではほぼ、同様のカットのものを「リブアイロール」と呼び、ヒレ、サーロインと比肩する価値を持っている最高部位とされています。

サーロイン

「リブロース」と「らんいち」に挟まれた部位で、かたロースから始まる胸最長の末端部位です。ロイン三点(リブロイン、サーロイン、テンダーロイン)のうち、サーの称号を冠する最高の肉質を持つ部位です。

代表的なステーキ部位で、通常、サーロインステーキというと一番親しまれたステーキ名です。レストランなどでこのステーキを注文しますと、ウェイターに「焼き加減」を尋ねられます。どんな焼き方にも対応できる優れた肉質の部位である証拠だと思います。

焼き方は、おおよそ次のような呼び方でその程度を表します。

  • ベリーレア・・・ほとんど生焼け
  • レア・・・生焼け
  • ミディアムレア・・・中位よりやや生焼け
  • ミディアム・・・中位の焼き加減
  • ウェルダン・・・良く焼けたもの

サーロインを骨付きのままでステーキ・カットしたものを食べる機会も多くなりましたが、代表的なカットの仕方には次の2つがあります。

ティーボーンステーキ

サーロインに骨を付けたまま、内側についているヒレを同時にカットしたものです。断面の骨の形状がT字型をしているので、このように呼ばれています。風味のよいサーロインと柔らかいヒレが同時に味わえる、極めて豪華な最高のステーキ・カットです。

エルボーンステーキ

サーロインに付いた骨がL字型に残るようにカットしたものをエルボーンステーキといいます。

英国の格言で「肉は骨に近いほどうまい」というものがあります。骨に沿ってきれいに肉をはがしながら味わいますと、本当の牛肉のうまみに出会ったと感激することでしょう。骨についている骨膜、そして筋膜などが牛肉の味を一層引き立てます。

ヒレ

牛のほかの部位との比較では、最も運動しない筋肉なので一番柔らかい部位となります。一頭の牛から得られる牛肉の中で、ヒレの占める割合はわずか3%程度しかありません。

ヒレ本体には、脂肪がほとんどありません。ヒレを覆うように腎臓脂肪の一部とその周辺の脂肪が、精肉にする際にこれらもほとんど除去されます。

肉の断面は、ビロード状にきめが細かく見えます。このようにきめの極めて細かい部位を調理する際には、煮すぎたりしないことです。

過度に加熱をすると、表面が硬くしまり、本来持つ風味を損ないます。ステーキにするなら、ミディアム位までで、それ以上熱を加えることは勧められません。ヒレの名の由来は、フランス語でこの部位のことを「フィレ」と呼ぶことから「ヒレ」となりました。

ヒレの呼称は、「①テート」、「②シャトーブリアン」、「③フィレ」、「④トルネド」、「⑤ポワント」で、フランス料理名の一端に出てくることがあります。幅の広い部分は薄く、狭い部分は厚切りにして使うと良いでしょう。②~④までを「クール・フィレ」とよばれています。

かたばら

かたの部分にあるバラ肉で、厚みのあるのが特徴です。胸骨の部分にある「かたこぶ」と呼ばれるばらの先端部分は、肥厚して硬い部分となります。

かたロースに接する部分は、脂肪交雑がよく入り、濃厚な風味のある部分で、英名で「ショートリブ」と呼ばれる部分は、ほぼリブロ―スと同等の高い価値で評価されています。

韓国料理の焼肉でカルビ(ばらの焼肉)のうち、高級なものはこの部位を使用します。薄切りにしたものは、もちろん硬さに難はありません。

筋膜などはトリミングせずに、また、骨付き状態のまま煮込めば最高のスープがとれます。牛肉好きの通は、この部位を高く評価しています。

ともばら

リブロースとサーロインに接続し、かたばらの後方に位置します。通常「ばら」と呼ばれているのは、この部位のことです。総じて、繊維質、筋膜が多く、肉のきめは粗い部分ですが、よく脂肪交雑が入り、濃厚な風味を持っています。

薄切りや煮込み料理上、難はありません。大衆的な牛丼や焼肉は、おおむねこの部位を使用しています。また、肋骨をバラにつけて骨付き状態のままカットしたものは、煮込みにしますと濃厚なスープがとれます。煮込むことで骨周辺の骨膜、筋膜が柔らかくなると、大変おいしいものになります。

うちもも

モモ系の部位では、もっとも重量的に占める割合の高い部位です。内側に付着している皮下脂肪を取り除けば、ほとんどが赤身の大きな筋肉の塊です。
赤身を好むひとには最適の部位です。

ほとんどの牛肉料理に適し、ブロックにして「ローストビーフ」など、整った形状での利用が可能です。米国では赤身中心の健康志向から、ラウンドステーキとして人気のある部位です。

しんたま

うちももとほぼ同様の肉質を持つ赤身中心の部位です。

周辺の「かぶり」とよばれる部分は、やや肉のきめは粗いのですが、その内側はきめが細かく柔らかいです。別名「しん芯」といい、ラウンドステーキ用、焼肉用として適しています。(海外で)

そともも

モモ系の部位では最も運動量の多い部位です。従って、全体的に肉のきめが粗く、肉質は硬い部位となりますが、薄切りや煮込みに用いれば問題はありません。そとももは、「はばき」「しきんぼう」「なかにく」の3つに分けられます。

「はばき」は、すねにちかい特質を持っています。「しきんぼう」は、最もきめの粗い部位ですが形状が整っていますので、所要の目的によっては利用範囲が広がります。「なかにく」は、きめはそれほど粗くありませんので、一般的な牛肉料理に利用できます。

欧米では、この部位を生のコンビーフ(チルド状態で一週間塩漬けにしたもの)に加工して市販しています。また、肉質が硬いにもかかわらず好んでこの部位を調理の素材として利用しています。

らんいち(らんぷ)

サーロインに接続する部分で、モモ系の部位の中では背側に位置し、「ランプ」と「いちぼ」と呼ばれる大きな筋肉の塊から構成されています。

らんいちは、ロイン三点(リブロイン、サーロイン、テンダーロイン)の高級部位に次ぐ準高級な部位として評価の高いところです。背脂肪を除去すれば、ほとんど筋間脂肪もない柔らかい赤身肉です。

ステーキメニューのうち、サーロインと同様に「ランプステーキ」はよく知られています。ほとんどの牛肉料理に適していますが、特に焼く料理に最適な部位です。




すね(まえすね・ともすね)

前肢のものを「まえすね」、後肢のものを「ともずね」といいます。特質は、両社ともにほぼ同一ですが、スープストックをとるには「ともずね」の方が良いとされています。

運動量の多い部位ですから肉のきめは粗く、肉質は硬いところです。また、筋膜、腱なども多く介在していますが、エキス分やゼラチン質に富んでいます。そのため、レストンなどでは、骨つきの状態のままカットしたものを煮込みます。肉はほとんど赤身ですから、ひき肉や煮込み用にはむしろ貴重な部位として高く評価されています。

まとめ

これを覚えることは、非常に難しいですが、肉色、肉質、部位の位置、などを把握していれば難しく考えなくても良い選択肢を選べるのではないかと思います。