今回は、エムマート市場(食材卸売場)にある「シンタマ」部位についてご紹介します。
希少部位の集合体ともいえる部位は、最近において「しんしん」「まるしん」など焼肉店などで見かけるようになりました。
テレビでも放送されるようになった「しんしん」部位は、シンタマ部位を分割しますとでてくる部位になります。
早速ではありますがこの「シンタマ」部位について解説していきます。
もも系の中でも使いづらい「シンタマ」を活かし方を徹底解剖します!
エムマートの食材市場においてあまり出品されていない(売りづらい)部位ですが、希少価値が高い肉のあつまりである「しんたま」部位は、アピールしやすい食材になります。
活用の仕方によっては誰しもが興味を湧くような部位になります。
「しんたま」部位は、うちももとほぼ同様の肉質を持つ赤身中心の部位です。
周辺の「かぶり」と呼ばれる部分は、やや肉のきめは粗いのですが、その内側はきめが細かく軟わらかい部分もあります。
別名を「しん芯」といい、ラウンドステーキ用、焼肉用としても使われています。特に分割すると、「まるしん」、「ともさんかく(ひうち)」などは希少部位として扱われ、お店によっては、量の少なさから限定品として販売されるところもあります。
また、分割したものは、それぞれの肉質と特徴において違いがありますので、様々な用途にわかれます。
今回は、この「シンタマ」部位を使って基本的な小割とすじ引き方法に記載していきますが、シンタマ部位だけでも数多くの商品が存在しますので紹介していきます。
「シンタマ」の小割とすじ引き(右部位)
「シンタマ」の特徴と抑えておくべきポイント
「シンタマ」の特徴は丸い形をした赤身肉で、全体的に肉質もよく味は、淡泊な味わいです。
サシはあまり入らない部位となります。また、図を参照にAは「まるしん」、Bは「かめのこ」、Cは「ひうち」(ともさんかく)、Dは「まるかわ」(しんたまかぶり)とそれぞれ特徴を持ち合わせています。

シンタマ部位のすじ引きは、すじ引きそのものの技術を発揮できる部位です。
技術の良し悪しが最も顕著にあらわれる部位ですが、品質もよくしっとりしたものは、非常に気持ちよく作業も進められます。
「ひうち」(ともさんかく)部位の脂肪を取り除き、ひうちのすじを引きます
- ひうち(ともさんかく)部位の左側面の脂肪をひうちに沿って取り除きます。
- ひうちのすじを引き、すじは、最初だけ厚く後は薄いため引きづらいが、左側面のすじは完全に取り除きます。

まるかわ部位の外側面のすじを引きます
- まるかわ部位だけすじを引きます。
- まず、ナイフを大きく使って一枚すじで引き上げます。
※ここに小さなすじ(肉片)があったら先にとります。

シンタマよりひうち(ともさんかく)部位を剥ぎ取り分割します
- しんたまよりひうち(ともさんかく)を取り除きます。このとき脂肪はできるだけひうちに付けます。これは、二度手間をかけないために行います。(先に境目にナイフを入れ、ひうち部位の肉厚の方より剥ぎ取ります)
- かめのこ部位まで薄く覆っている脂肪も一緒に剥ぎ取ります。

かめのこ部位外側の薄いすじを引きます
- かめのこ部位の薄いすじを、肉の目に逆らうように皿骨の方より引きます。(この透けて見える薄いすじも慣れると三回くらいで引けるようになります)
※他のすじは手は付けないでおいておきます。
- すじ引きナイフが切れすぎるとすじの方が切れて作業がしにくいです。ナイフは、すじ引きに馴染んだものを使用したものが良いと思います。

かめのこ部位外側厚めのすじを引きます
- 裏側の肉の下にラスター等を置くと、すじを引くかめのこ部位が持ち上がり作業がしやすくなります。
- ナイフを逆手に持ちすじを引き上げます。

しんたま部位よりまるかわを分割します
まるしんのすじに沿って割り、皿骨までナイフを入れます。

皿骨につながっているまるかわのすじを切り離し、しんたま部位よりかぶりを取り除きます。
かめのこ部位との境に沿って割り、皿骨につながっているすじを切り離し、しんたまよりまるかわを切り離します。

かめのことまるしんをすじに沿って切り離します
- まず左手で皿骨を持ち、すじが張るように引っ張ります。
- はじめはあまり深くナイフを入れないで、すじに沿ってなぞるように浅く入れ、2回目に大きく入れ角度をつけすじに沿ってナイフを入れます。
※慣れると2回で分割ができます。

ひうち部位のすじ引きと整形
- まず、外側の皮下脂肪を3ミリ程度残して余分な脂肪は取り除きます。
※脂肪がなく、透けている部分はすじを引きます。
- ついで、内外の脂肪を全部取り除いてすじを引きます。
※横の部分のすじも取ります。

まるしん部位のすじを引きます
まるしんのまわりのすじをすべて引き上げます。

まるしんをすじに沿って分割します
- 真ん中に入っているすじに沿って、まず手前よりナイフを角度をつけて入れます。
- 左手ですじを張りながらナイフを徐々に深く入れ、すじの上をなでるようにして分割します。

かめのこ部位のすじを引きます
外側は小割り時にすじを引いているので残りの内側を引きます。
先に、大きいすじの周りの薄いすじを引きます。左手ですじを張り、ナイフを逆さにもって反対側にはねるようにナイフを使いすじを引き、全ての脂肪とすじを除去します。

まるかわ部位のすじ引きと分割
- 骨肌を引き、引きやすいようにナイフの裏でなでて平らにして、骨肌を引きます。
- 皿骨につながっていたすじも、脂肪も取り除きます。

まるかわを分割します
まるかわの中に食い込んでいるすじに沿ってナイフを入れ、分割します。
※最初、スジに沿って浅くなぞるようにナイフを入れ、すじを出し、次に徐々に深くすじに沿ってナイフを入れ、分割します。

まるかわのすじを引きます
分割されたまるかわは、まず脂肪を取ってから周りのすじを引きます。大きなすじが2つ盛り上がったところにあります。

内側の残りのすじを引き上げます

ここまでで作業が終了です。
「マルシン」部位の各小割した商品例
ここでは、小割した部位の商品化について記載していきますが、あくまでも一例であり品質によっては、ステーキや焼肉にならない場合もあります。
「まるしん」部位
まるしんは赤身肉でやわらかく(特別やわらかいとはいえません)形や大きさも手ごろです。このまるしんは真ん中にすじが一枚入っていますが、このすじに沿って2分割にもできます。
下側の肉は薄く、上側は厚いがともに赤身肉とモモ系なのでヘルシーな一品です。

ステーキやローストビーフには、分割せずになかすじを半分位取り除いて、大きいままで商品づくりができます。

両端はカレーや焼き肉用に使います。
※品質によっては、硬いものがあるので薄切り焼肉としても使われます。


「ひうち」(ともさんかく)
もも部位で最もサシの入りやすい部位で、そのサシも小さく見栄えも良く、味もよいのですが特にやわらかいとはいえません。肉質は、水分量が少ないため変質が遅いことが特徴的です。

ひうちは、肉の目の流れが変化していて、注意しながら焼肉をカットしなければなりません。

かめのこ部位
赤身で硬い部位のかめのこ部位は、パサパサしていいてステーキには向かないものですが、ひと昔前までは、ユッケなどによく使われていました。現在では、しゃぶしゃぶ用やたたきとして使われることが多いです。

まるかわ部位
まるかわは2等分されますが、肉に厚みがないが、赤身肉で味がしっかりしています。主にたたきに向いていますが、ほとんどはこま切れに使われる事が多いです。
まとめ
今回は、「しんたま」部位でしたが、「まるかわ」、「まるしん」、「かめのこ」、「ひうち」の集合したもので、それぞれが独自の特徴をもった部位です。すじ引きにおいては、その人の技量が最もあらわれやすいものですが、この部位ができるようになれば他の部位もきれいに作業ができるようになります。
また、それぞれ小割したものは、独自の食感や味わいが色とりどりですので、扱い方次第では多種多様な価値が生まれます。希少価値の高いものもありますが、食してみたい、試してみたい事があればオーダーメイドのカットしてもらうのも良いかもしれません。
コストパフォーマンスを考慮しても、是非活用してみるべきではないでしょうか。