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硬いホルスタイン肉を柔らかくするための方法

約 7 分
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御覧頂きありがとうございます。

今回は、「硬い」とのイメージされるホルスタインについて、どのようにすれば「柔らかく」なるのかご紹介していきます。

硬いイメージが強いホルスを工夫すれば柔らかくなります

日本人が牛肉を食する時、柔らかいから「美味しい!」、硬いから「不味い!とのそんな声を度々聞いたりします。

和牛においては、肉用として飼育されるため柔らかく、また肉の味がしっかりとしているのは、当然のように思います。

しかし、ホルスタインのように乳用として(牛乳をしぼるため)飼育されるため、「硬い」とのイメージができあがるのは、必然なことなのかもしれません。要は、飼育される目的が違うために捉えられしまう事で当たり前のようにも感じます。ちなみに交雑種は、和牛と乳用の掛け合わせです(すべてではありません)。

しかし、和牛の生産頭数の減少などの様々な要因によって牛肉の価格が高騰し、以前、和牛を使用していたお店が交雑に変更せざるおえない状況になったり、交雑牛を使用していたお店がホルスタインに変更していたりするなど、牛肉の業界においては価格の高騰が大きな影響をもたらしています。また、輸入牛にも変更しているところもあります。

このような中で、ホルスタインは乳用だから、硬いから食べられないなども一概には言えません。

乳用にも独自の味わいがありますし、また、ひと工夫すれば必ず良いものになります。

ただし、扱うにはそれなりの知識が必要ですが、今回はどうしたらホルスタインを柔らかくできるのか?という部分を中心に記載していきます。

食肉類は生でも、加熱調理しても、一般的に魚肉に比べ肉質は硬いです。それは食肉の筋肉組織の構造の違いと、筋肉を構成するたんぱく質の組成の違いが関与していることは間違いありません。

そこで、柔らかさを求めるなら、焼く、揚げるなどの肉料理では柔らかい部位を選ぶことです。時間をかけて煮込むなら、硬い部位の肉も結合組織に多いコラーゲンがゼラチン化するので、柔らかくなります。

また、食肉に欠かせない調味料は、味をつけるだけでなく、食味、特にテクスチャーを改変する効果があります。

肉類は加熱をすれば、硬くなることは避けられないです。そこで、硬い肉を柔らかく食べる工夫として以下の方法をとりあげていきたいと思います。




機械的な方法

筋肉に対して直角に薄切りやひき肉にします。また、厚め肉を焼いたりする場合は結合組織を切断したり、肉叩きで叩き、筋肉を破砕し、収縮しにくくします。また、すじを切る作業においても柔らかくする方法としての大切な部分となります。

例えば、ビーフステーキなどのように焼く調理では、叩いて薄くなったりした状態を元の形に戻して焼くことが大切で、ジューシーで柔らかい食感となります。

要はカッティング方法や叩く道具を使用したり、テンダーライザー(すじを切る道具)などの技術と道具によって柔らかくします

たんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)の利用

生姜、キウイフルーツ、パイン、アップルなどにはたんぱく質分解酵素のプロテアーゼが含まれますので、搾ったり、おろしたり、みじん切りなどにして肉にまぶし、肉類を軟化させます。

生姜などの芳香で臭みをマスキングする作用もあります。

また、酸性を示す果汁の添加は食肉のPHを低めることになるので、筋肉内プロテアーゼを活性化させます。酵素は筋原繊維たんぱく質を分解しますが、結合組織のコラーゲンには作用しないため、長時間作用することは却って食味低下をもたらします。

生肉に作用させてこそ効能が発揮されますが、酵素の作用時間は十分に考慮すべきです。

調味料による下処理

食肉のPHは5.6~6.0付近であり、肉のたんぱく質の等電点であるので、このままで、加熱した場合、たんぱく質同士が結合して緻密な構造をとるため、肉が締まり、肉汁が流出しやすくなります。そこで、PHを酸性側に、あるいは、アルカリ側に調整するとジューシーになります。

この原理を利用し、肉をワイン・マリネ液に漬けた後に加熱調理すると、肉が風味よく、柔らかく仕上がります。

この下処理は筋肉内プロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)の活性化作用も加わることになります。

食塩の添加はNa+、Cl-に解離し、たんぱく質分子間の結合をゆるめ、間隙を作り、ジューシーさをもたらします。

しかしながら、筋繊維が太く風味のある牛肉は、加熱直前に振り塩をすると食味がよくなります。味噌、醤油、清酒などの発酵調味料は、PH域がほぼ類似していますので、同様の効果が期待できます。

韓国料理の焼肉には、醤油や酒と共に、砂糖がよく使われます。砂糖の添加で、たんぱく質と水素結合で結ばれ、たんぱく質分子の変性を抑制しますので、肉が柔らかく仕上がります。

長時間の湿熱・加熱

硬い部位の肉類は、通常、臭みを抜くためにさっと茹でた後、水煮あるいは調味料を加えた煮汁やソースで、長い時間煮込み、結合組織のコラーゲンをゼラチン化します。

長時間煮込みのプロセスを省くためには、高温(110℃~127℃位)で短時間加熱の圧力鍋を使用する方法もあります、消化後も十分位沸騰が続きますが、加熱時間は約3分の1、燃費は更に少なく約4分の1になります。

また、ある程度加熱した後、火から離し、保温効果の高い保温鍋の余熱効果で煮る方法もあります。煮崩れることが少なく、シンプルな味わいの仕上がりなります。当然のことながら、焦がすこともなく、省エネにもつながります。

ただし、煮込む作業や圧力鍋を使用する場合にも適正な部位を(肉のきめがより締まる場合がある)選定して使うと良いでしょう。

熟成について

ホルスタインを扱う事で大切なのは、熟成です。屠畜後の硬直状態のままでも食べることはできますが、肉は「熟成」という過程を経ることで柔らかくなり、より一層独自の風味が出てきます。

動物の体内細胞に含まれる何種類かの酵素は、乳酸やリン酸を生成し、これらは微生物の発生を抑えつつ、死後も一定時間働き続けます。また、死滅した細胞(主としてたんぱく質の組成)やコラーゲンを膨潤させ、肉を柔らかくし同時に保水性を生じさせます。この一連の現象を「自家消化」と言います。

冷蔵庫での牛肉保管の理想維持温度は、摂氏0~2℃位です。熟成期間としては、牛肉では5日以上10日位が適当です。

保管中にもし冷凍状態になりますと、熟成作用は停止するか緩慢な状態になります。また、庫内が5℃以上になりますと、熟成が早く進みますが、同時に食肉そのものの変質が起こります。

また、熟成には個体差にもかなり留意しなければなりません。すなわち、若齢で水分の多い牛肉は熟成期間が短く、脂肪のよくついた肥育の進んだものは長めとなります。

ホルスタインを選ぶ時には必ず屠畜日を確認すると良いでしょう。また、屠畜日を確認する方法は、トレーサビリティでも良く知られる個体識別番号によって確認できますし、卸先に確認しても良いでしょう。




まとめ

今回は、ホルスタインを柔らかくする方法をご紹介してきましたが、「すじ切り」においては、肉の厚さにもよりますが5~6箇所、叩く場合は均一に繊維を壊し、フルーツを使用した場合は、缶詰などではなく生のものを使用し10分~30分ほど漬け込む方が良いでしょう。

また、砂糖などはすり込むと肉の中のコラーゲンと水分が結びつきやすくなります。また、煮込み料理には、ビールやコーラ、酢を加えて(入れすぎない)も柔らかく仕上がります。

また、熟成においては、目安の期間以上になってきますので変敗に注意する必要があります。

ホルスタインであってもいくらでも活用方法がありますが、肉そのものを活かすには必ず知識が必要になってきますので取り扱いに留意しながら参考にしていただければと思います。



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