牛肉レシピ

主婦でも簡単に牛肉を柔らかくする4つの方法を肉の専門家が教えます!

スーパーの特売品や安く購入した牛肉を食べて「硬い!」と感じたことはありませんか?

これらの牛肉を噛んだときに硬いと感じる主な原因は肉の繊維にあるのです。

肉の繊維、また繊維の端にあるスジが歯にあたってしまうと人は硬さを感じてしまいます。

例えば、太い糸は切れにくいが細い糸なら切れやすいですよね。

同じ原理で、牛肉は調理前に繊維を細くするか、切れば硬いと感じにくくなり、子供やお年寄りまでお肉をしっかりと美味しく食べられるようになります。

よく、「お肉は下準備が大切」と聞くことがあると思いますが、実際にはどのような方法が有効で簡単なのか。

今回はお肉のプロが具体的にご紹介していきます。

この記事でご紹介する方法は牛肉の以下の部位や種類でも有効です
  • 牛もも肉
  • 牛バラ肉
  • ハラミ
  • 牛肩ロース
  • 牛サガリ
  • カルビ
  • 焼肉用の切り落し
  • 牛細切れ肉
  • 牛薄切り肉
  • 牛角切り肉
  • 牛細切り肉
  • かたまり(ブロック)肉
この記事を読むとわかること
  • 牛肉のプロが実際に使っている食肉をやわらかくする方法
  • 安い肉を高級牛並みの食感に変える方法
  • 牛肉の「ステーキ」「ももブロック」「切り落とし」などの用途にあわせてやわらかくする方法

牛肉の選び方についてはこちらを参考にしていただければと思います。

牛肉のやわらかい肉と硬い肉|おいしい牛肉を見分ける方法とは?

「柔らかい肉=おいしい肉」ではない?

あなたは「やわらかい牛肉がおいしい」と思っていませんか?

レストランなどの高級なお肉を食べた時の第一印象がやわらかい。

多くの人は「柔らかい肉=おいしい肉」というイメージを持たれているかもしれません。

しかし、必ずしも柔らかい肉が美味しいとは限らないのです。

牛肉には「本来の味わい」というものがあります。

本来の味わいを引き出すには「おいしさとやわらかさのバランス」を整えることが大切なポイントになります。

おいしさと柔らかさのバランスをとる前に「美味しさの秘密」と「硬さの原因」について解き明かし、お肉を美味しくやわらかくする方法をご紹介していきます。



簡単にできる!高級牛並みに美味しさを引き出す方法とは?

食べ物の美味しさは、口中で咀嚼(そしゃく)し、嚥下(えんげ)に至る過程で生まれる感覚がベースになっています。

決して他の消化器で生まれるものではありません。

食道から胃、それ以降の消化器は栄養素情報を受け取り、消化・吸収に関わる酵素、補酵素、ホルモンなどの分泌に関与します。

食べ物の味を楽しめるのは、見て、口の中で味わい、のどを通過するまでの間にしかすぎません。

味わうことが快くなされた時は満足感をもたらし、食欲が増し、食べ物を摂取し続ける行動となり、食事がすすみます。

一方、ある程度のところで満足し、食べることをセーブします。

これらのプロセスで唾液に放出される味成分をキャッチする味覚受容器は口中(舌、軟口蓋、咽頭、喉頭)にしかありません。

また、食べ物の硬さ、弾力性、多汁性等のテクスチャーを感ずる触覚受容体は口腔粘膜、舌、歯肉、歯根膜にあります。

自分の歯があれば、脳を活性化するばかりでなく、食べ物の多岐にわたるおいしさを堪能できます。

とくに、肉のおいしさは咀嚼(そしゃく)によって、おいしさが広がり、深まる特性があります。

ただし、牛肉のおいしさの大きな要因となる食べ物自身が持つ特性については、柔らかく、おいしくする方法で足りないと感じた方は牛肉の品種を変える必要性があります。

和牛や交雑、ブランド牛に当てはまります。

牛肉のおいしさを追求した牛肉が和牛です。

和牛は肉専用種として生産されているからこそ味わいに深みがあり、安価な牛肉とは違う別物だと感じられます。

肉のプロが厳選する国産ブランド牛ランキング10選!専門家が本当におすすめする牛肉とは?

家庭でもできる牛肉を柔らかくする4つの方法とは?

では、美味しさの秘密を理解したうえで、ご家庭で牛肉を柔らかくするにはどうするのか?

主婦の方がお肉を調理する時には次の4つの方法がおすすめです。

肉のプロが教える!牛肉を柔らかくする4つの方法
  • 繊維を切断して、筋肉を破砕する。
  • タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を利用する。
  • PH域を調整するための調味料を使う。
  • 圧力鍋を使う。

それでは一つずつ詳しく解説致します。

ぜひ、用途に合わせてご家庭でチャレンジしてみて下さいね。

牛肉を柔らかくする方法①【ステーキ編】繊維を切断して、筋肉を破砕する

  • 牛肉の繊維に対して直角に切ること。
  • 繊維に対して切る際には薄めに切ることと引き切りを行うこと。
  • ミートハンマーやテンダーライザーなどの道具を使用して下準備を行うこと。

筋肉に対して直角に薄切りや引き切りにします。

牛肉のカットの方法牛肉の繊維が横に流れている状態から直角にカットする
牛肉の繊維の流れを見極めることがポイント!

 

繊維が流れている方向にクロスさせるようにカットしていきます。

ブロック肉などカットする際には、覚えておいた方がよいカットの詳細は下のリンクで紹介しています。

牛肉の部位をカットする前に抑えておきたいカットの方法厳選5つ

 

ステーキなど肉を厚めに焼く場合は、結合組織を切断したり、肉叩きでたたき、筋肉を破砕し、収縮しにくくします。

牛肉をふき取る牛肉の調理前は必ず水分ふき取る

牛肉は、温度差で肉の水分が染み出ていますので、キッチンペーパーで、水分を取りましょう。

何故なら余計な水分が邪魔をして調味液などが肉に染み込みにくくなるからです。

また、時折タオルなどでふき取る方がいますが、やめておきましょう。

きれいなタオルだといっても雑菌が含まれていますので注意が必要です。

私の会社で細菌検査したところ、新品や洗い立てのタオルの方が多く菌がでています。

格子状に繊維を切った牛肉格子状に繊維を切った牛肉

格子状にカットする場合は深くナイフが入らないよう肉の厚みの半分までにしておきましょう。

牛肉の繊維をたたく肉たたきで繊維を粉砕
肉たたきで肉の繊維を粉砕肉たたきで肉の繊維を粉砕

例えば、ビーフステーキ、ポークソテーなどのように焼く調理では、叩いて薄くした状態に整えて焼くことが重要なポイントとなります。

なぜなら、ジューシーで柔らい食感となるからです。

牛肉をたたくには以下のような調理器具(ミートハンマー)が便利です。

実際にミートハンマーで肉を叩いて伸ばしてみました。

肉たたきで繊維の粉砕前肉たたきで繊維の粉砕前
肉たたきで繊維の粉砕後肉たたきで繊維の粉砕後

ミートハンマーは、とんかつの下準備にはよく使われる必須のアイテムですね。

牛肉の形をあまり崩したくない場合は、ジャガーノートやテンダーライザーを使用します。

こちらも実際に使用してみました。

ジャガーノートやテンダーライザージャガーノートやテンダーライザーを使用

 

テンダーライザーやミートハンマーは、輸入牛や国産の安価な赤身が多い牛肉におススメ!

調理器具を利用して繊維を粉砕することによって普段は硬く感じるお肉も柔らかく、ジューシーに仕上げることが可能になります。




牛肉を柔らかくする方法②【焼肉編】タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を利用する

焼肉や切り落としなど使う場合は、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を利用した下処理をすることで肉を柔らかくすることができます。

タンパク質分解酵素のプロテアーゼが含まれる代表的な食べ物

  • しょうが
  • キウイフルーツ
  • パイナップル

これらの食品には、タンパク質分解酵素のプロテアーゼが含まれていますので、搾ったり、すり下したり、みじん切りなどにして肉とよくまぶします。

そうすることで。肉質を軟化させることができます。

しょうがなどの芳香で臭みをマスキングする作用もあります。

また、酸性を示す果汁の添加は食肉のPHを低下させることができるので、筋肉内プロテアーゼを活性化させます。

プロテアーゼなどの酵素は、筋原繊維たんぱく質を分解しますが、結合組織のコラーゲンには作用しないため、長時間作用することは逆に食味低下をもたらします。

生肉に作用させてこそ効能が発揮されますが、酵素の作用時間は十分に考慮すべきです。



プロアテーゼを使った下準備の方法とは?

こちらの方法ではトレーに必ずラップをしておきましょう。

プロテアーゼを利用した方法の場合、冷蔵庫で少し保管する必要があります。

密閉されていない状態では牛肉が冷蔵庫の冷気で乾燥や冷蔵焼けしてしまうため、味が落ちてしまいます。

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タンパク質分解酵素プロアテーゼを利用する際は、すり下ろしたものは牛肉にすりこむようにつけてからトレーに乗せて冷蔵庫で1時間から2時間ほど保管しておきます。

肉の繊維を分解パンにバターをぬるように擦り込んでいく

手をあまり汚したくない方は、ジップロックの中に肉とすり下ろしたもの入れ、手を汚さず、臭いが付くのも防ぎもみ込むことができます。

また、冷蔵庫がかさばらず、スッキリとした調理が可能です。

牛肉とすりおろしたものをもみ込んでいる状態牛肉とすりおろしたものをもみ込んでいる状態
ジップロックに肉を入れた状態ジップロックに肉を入れた状態

 

ジップロックに処理をしたお肉を入れたら中の空気をできる限り抜いて保管します。

肉は空気に触れてしまうと痛みやすくなるからです。

肉を焼くときは、必ず肉の温度を常温に戻してから焼いてください。

焼く間20分前には冷蔵庫から出してから調理するのがおすすめです。

肉の中心温度が低いと火が通りにくくなり、適切な時間で焼くことが出来ません。

パイナップルなど輪切りしたものは、トレーに肉と輪切りしたものを敷き詰め、冷蔵庫に保管しておきます。

擦り込んだものと違い、繊維がほぐれるまで時間がかかりますので半日から一晩は寝かせましょう。

輪切りにしたパイナップルの上に肉を敷き詰める輪切りにしたパイナップルの上に肉を敷き詰める

 

肉はどれくらい漬け込めばいいの?

肉の美味しさをそこなわず、柔らかい最高の状態で食べるためには、どれくらいの時間漬け込めば良いのでしょうか?

おおよその目安をご紹介していきます。

すりおろしたしょうがに漬ける場合

3時間から4時間

料理するときのポイントですが、しょうがはもともとすり下ろしたものを使うと時短になるので使い勝手がよいです。

また、生にんにんくを使うと殺菌効果だけでなく、食欲も湧いてきますので、すり下ろしたしょうが混ぜ合わせて使うのがおすすめです。

しょうがと生にんにくを7:3の割合が肉のうま味が引き立ち、にんにくの臭いをおさえることができるので、混ぜ合わせる時には目安にしてみて下さいね。

しょうがと生にんにくしょうがと生にんにく
すり下ろしたしょうがすり下ろしたしょうが
しょうがを肉にすりこむしょうがを肉にすりこむ
しょうがと生にんにくは、カレー用の牛肉に最適。カレーのコクと香りが引き立ちます!

[box class=”box_style_blue” title=”すりおろしたキウイフルーツに漬ける場合”]
3時間から4時間

[/box]
キウイフルーツは、小玉を3個を使用して150gほどになります。

150gで約300gの焼肉に使えます。

すりおろしたキウイフルーツすりおろしたキウイフルーツ
すりおろしたキウイフルーツに漬ける場合すりおろしたキウイフルーツに漬ける
ジップロックにすり下ろしたキウイジップロックにすり下ろしたキウイ
パイナップルに漬ける場合

3時間から4時間

パイナップルに漬ける場合は、缶詰の方を使うと値段が安く抑えられます。

ただし、肉に甘味が増すので甘味が苦手な方は、普通のパイナップルをそのまま使用してください。

パイナップルの缶詰パイナップルの缶詰
パイナップルの輪切りパイナップルの輪切り
ジップロックにパイナップルを敷き詰めた状態ジップロックにパイナップルを敷き詰めた状態
ルーツを使った牛肉の繊維をほぐす方法は、フルーツの酸味の強い香りが引き立ちますので苦手な方は控えたほうが良いです!



牛肉を柔らかくする方法③【煮込み編】PH域を調整するための調味料を使う

牛肉の煮込み料理や炒めものに牛肉を使うときは、PH域に配慮することが重要となります。

食肉のPHは5.6~6.0付近であり、肉のたんぱく質の等電点であるのでこのままで加熱した場合、タンパク質同士が結合して緻密な構造をとるため、肉が締まり、肉汁が流出しやすくなります。

そこでPHを酸性側に、あるいはアルカリ性に調整するとジューシーになります。

この原理を利用し、肉をワインやマリネ液に漬けた後に加熱調理します。

そうすると、肉の風味が増し、よりやわらかく仕上がります。

この下処理は、筋肉内プロテアーゼの活性化作用も加わることになります。

食塩を加えることで肉の繊維が解離し、タンパク質分子間の結合をゆるめ、間隙を作り、ジューシーさをもたらします。

しかし、筋繊維が太く風味のある牛肉は、加熱直前に振り塩をすると食味が良くなります。

豚肉や鶏肉は、塩と香辛料をしてから5分~10分位置いて、浸透圧の作用で特有の臭みを除いていきます。

加熱すると保水性がよく、弾力のある肉となります。

味噌、醤油、清酒などの発酵調味料は、PH域が牛肉にほぼ類似していますので、同様の効果が期待できます。

韓国の焼肉では、醤油や酒とともに、砂糖がよく使われます。

砂糖を加えることでタンパク質と水素結合で結ばれ、タンパク質分子の変性を抑制する働きがうまれ、肉が柔らかく仕上がるのです。

私はいつも使い勝手のよい赤玉(ワイン)を使用しています。

赤玉ワインと焼肉赤玉ワインと焼肉
牛肉にワインを漬け込む牛肉にワインを漬け込む
ジップロックに牛肉をワインで漬け込む場合ジップロックに牛肉をワインで漬け込む場合

ワインは牛肉の重さに対して15%~20%ほどにします。

なぜなら、焼き上げる時にアルコールが飛びきらないからです。また、肉が溶けてしまいます。

赤玉ワインを使用していますが、アルコールの度合いによっては漬け込む量は注意が必要です!

牛肉を柔らかくする4つの方法④【ブロック肉編】圧力鍋を使う

硬い部位のももやすじなどは、臭みを抜くためにさっとゆでた後、水煮あるいは調味料を加えた煮汁やソースで、長時間(90℃で2時間から3時間くらい)煮込み、結合組織のコラーゲンをゼラチン化させます。

牛タンや牛すね肉のシチューや、豚三枚肉のうま煮料理にみられる料理法です。

「長時間煮込む」のは面倒で大変ですよね。

忙しい主婦には、何時間も煮込んでいる時間は作れないかもしれません。

そういうときは、圧力鍋を使用するのが便利でおすすめです。

高温(110℃~127℃位)で調理することで、短時間で長時間煮込んだのと同様の仕上がりにすることが可能です。

消火後も10分くらい沸騰した状態が続きますが、加熱時間は約3分の1、燃費は更に少なく約4分の1になります。

また、ある程度加熱したあと、火から離し、保温効果の高い保温鍋の余熱効果で煮る方法もあります。

煮崩れることが少なく、シンプルな味わいの仕上がりとなります。

当然ながら焦がすこともなく、省エネルギーにもなるためプロおすすめの方法です。

圧力鍋の使い方についての詳細は以下の記事にて解説しています。

硬い牛肉も圧力鍋を使い方|オススメ煮込み料理まとめ

圧力鍋の取り扱いには注意が必要ですが、時短になるので非常に便利!

まとめ

今回は、牛肉のプロがとくに効果的な方法を4つご紹介させていただきました。

どれも家庭でできる簡単な方法ではありましたが、フルーツを使った方法ではキウイなどの酸味の臭いが嫌いという方は控えたほうが良いでしょう。

牛肉は、決して「柔らかさがおいしさとつながるのではない」ということをご理解ください。

「やわらかさと味わいのバランスが必要」だと述べさせていただいた上で、どのようにしたらおいしく、牛肉が味わえるのかを追求していきましょう!

今回のまとめ
  • 牛肉は料理用途によってやわらかくする方法が変わる。
  • 下準備には便利な調理器具や調味料を使うとよい。
  • 硬い原因を知っていれば簡単に柔らかくなる。
  • おいしさは柔らかさではない。

いかがでしょうか。

是非ともチャレンジしていただければと思います。

では次回に。

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牛肉博士
食肉販売技術管理士。食肉の専門学校を卒業後関東、関西中心に専門店など全国各地で技術と知識を学ぶ。 現在、大正5年創業の食肉卸「株式会社五十嵐商会」で品質管理室・室長を務める。 メディアではNHK「あさイチ」に出演。「関西じゃらん」の特別付録にて執筆・寄稿にもたずさわる。